PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

第二次大戦時のスイス軍用自転車を手に入れた!

s-IMGP5025_Fotor.jpg
ストライクウィッチーズの影響で戦前・戦中のモノにかなり興味を持つようになり、前回には当時
物のナンバープレートなど買って喜んでいましたが、良い巡りあわせに逢えたおかげでとうとう
当時の軍用車両を手に入れてしまいました。いつかはWLAやウィリスジープが欲しいとわりと
マジで考えているため、WW2ミリタリー車両の入門編として非常に良い買い物ができました。
これは自転車部隊で有名なスイス軍で使われていた、1941年製の"Modell Armee"です。


s-IMGP4989.jpg
購入はヤフオクです。戦前のグッズ沢山あるな~と色々漁っていると奇跡的に発見しました。
代理出品で詳細はあまり分からなかったのですが、前オーナーが15年程前に骨董仲間から
譲り受けた車両なのだそう。海外サイトをリサーチしまくって間違いないと判定し、ポチりました。
価格は大体入門用のロードバイクを買えるか買えないかくらいでした。入札は自分だけでした。

s-IMGP4991.jpg
スイス軍のこの頃の自転車はMO-05(Ordonnanzfahrrad Modell 05とも)と言うモデル
が基本で、1905年から1989年までの非常に長い期間生産され続け、1993年に次世代機に
とって変わられるまで使用されました。マイナーチェンジは1941年以降にリアドラムブレーキが
ついただけという(重量が変わった年もあるそうです)まるでシーラカンスのような自転車です。
一昨年に行ったジープの機能美展2014では、スウェーデン軍のものと共に展示されてました。

s-IMGP5021.jpg
ただ、1939年から1941年にかけては第二次世界大戦の勃発により生産を増強する必要に
迫られ、MO-05を生産していたコンドル他いくつかのメーカーだけでは目標数に追いつくこと
ができず急遽、当時あった80以上ものメーカーや工房に委託生産がなされたのだそうです。
この委託生産モデルは通常のMOと異なる部分もあり"Modell Armee"として区別されます。

s-IMGP5023.jpg
モデルアーミーは生産メーカーによる個体差も色々とあって全ての把握は海外専門サイトでも
し切れていないみたいです。同時期のMOと違う部分は刻印の法則、フロントの泥除けがトップ
チューブよりも長い、フレームが少し小さい、チェーンのリンク数が50から48に、等だそうです。
モデルアーミーのこれらの情報に関しては海外BBSオランダ本国のサイトが詳しいです。
これらのモデルは自転車部隊本隊では使用されずメッセンジャーや歩兵隊で徴用されたそう。
戦争終結後、退役軍人にこれらの自転車が配られたという話を目にしたので、当時は軍人さん
が大事にしていたのでしょうか?もちろん払い下げで民間に出回った可能性も考えられます。

s-IMGP4992.jpg
ヘッドバッヂには生産を担当した工房のエンブレムが取り付けられており、自分の個体はこの
ようなものがついていました。Golf?Jolk?恐らくドイツ語の筆記体で確証を持てません・・・。
沢山の工房に生産されていたせいで調べても同じバッジの個体や、このメーカーの詳細は全く
引っかかりませんでした。情報が分かる方がいましたらコメントでお知らせくださいm(_ _)m
WW2はコルトガバメント(米軍拳銃)をミシン会社が作ったりしたので自転車以外の業種かも。

s-IMGP4995.jpg
昔の自転車というだけあってブレーキシステムは今のものには見られない、シンプルなものに
なっています。前はロッド式ブレーキといい、上からロッドを介してタイヤ表面にブレーキパッドを
押し付ける方式です。ワイヤー類が無く、これからの時代にメンテしていくには逆に助かるかも。
フロントハブはPicosa製。調べると海外オークションでビンテージパーツとしてヒットしました。

s-IMGP4996.jpg
シューがほとんど摩耗せずに残っていました。ゴム製なのでもうカチカチに硬化してしまってい
ますが、実際に運転してみると弱いながらも制動力がきっちりあることを見せつけてくれました。
長らく生産された車両なだけあって海外にはMO-05専門のレストアショップまであるくらいで、
Velo Zürich などのショップサイトでは1台組めそうな程の種類のパーツが販売されており、
消耗品類も大抵は揃うので、今の時代でもやろうと思えば充分実用で使えてしまうと思います。
恐らくこのモデルアーミーも大半の部品は共通ですが心配なら本家MOを買うのがベストかも。

s-IMGP4993.jpg
買った時にダイナモ式ランプは後付けですと説明がありました。調べると本家MOなどにも採用
されていたものと同じ、スイス製の古そうなランプです。タイヤ側面にギアを押し当て発電する
のですが、配線はテールランプにも行っており、なんとリアも光るみたいです。動作は未確認。

s-IMGP4994.jpg
ピンが片方外れてエンブレムがプラプラとしていましたが、SILUMAというメーカーの物でした。
こういう細かい所までスイス製パーツを使って維持されてきたみたいなので嬉しいですねぇ。

s-IMGP4997.jpg
フレームの中央にはそのスペースを有効活用する革製フレームバッグが備え付けられてます。
かなり良いアイデアだと思います。右側のポケットはワンタッチで開閉できるため便利そうです。
車体はサビこそ出ているものの、戦中のものとしてはかなり綺麗なほうだと自分は感じます。
塗装もまだ艶が残っている部分があります。レストアもいいけど当面はこのまま保存します。

s-IMGP4999.jpg
シートポストに取り付けられたコンパクトな空気入れ。通常はトップチューブの上に取り付ける
ようなので、多分後付けでオーナーの好みによって移設されています。このエアポンプはOM
の純正品みたいですが(Edco製)ホースは戦後の物っぽい。これも根本から切れてますが。

s-IMGP5019.jpg
フレームナンバーはモデルアーミーの場合シートポスト右側に、このように刻印されてます。
ricardo.chなどでリサーチした結果、この臨時生産モデルの年式刻印はB41のようにBから
始まる二桁のようです。シリアルナンバーは続いて縦に5桁入っています。OMの方だと、年式
刻印が十字マークと西暦四桁となっており、シリアルはシートポスト左側に刻印がされてます。

s-IMGP4998.jpg
フロントスプロケットは専門サイトによるとOMのコスモスで生産されていたものと同じ形でした。
1905年の初期から1979年まで使用された型だそうです。ペダルはリフレクター無しです。

s-IMGP5000.jpg
75年も前の車両なのでこういった消耗品は取り替えられている可能性が高いです。さいわい
チェーンは大きなたるみやラインの狂いがなく、チェーンオイルを差してしばらくは使えそうです。

s-IMGP5001.jpg
サドルの下にはスイス軍のナンバープレートが取り付けられています。ナンバーは30689。
1941年の軍用自転車から型をおこし、民間モデルとして未だに生産されているスウェーデン
クローナンというバイクがありますがこちらでも同じようなナンバープレートが装着されます。
クローナンはブレーキなどは近代化されているものの、手堅く新車で軍用車を手にしたい人に
はうってつけの選択肢かもしれません。値段も8~9万円とかなり安価ですし、カッコいいです。

s-IMGP5002.jpg
テールランプとプレートホルダー。リフレクターになっているので合法的に日本の道路を走行
できますね。ブレーキも一応は前後ついていますし。ここには赤字に白十字のプレートがつく
のですがこの個体は欠品しています。輸入で買えますが自分で作ってみるのもありかも…!

s-IMGP5003.jpg
スタンドは日本の実用車のように頑丈なセンタースタンドがついています。メンテ性が良さそう。
こちらも実用上問題なく動作してくれてます。個体により見られるサイドスタンドは後付っぽい。
戦前っぽさから国産実用自転車の購入も考えていました。今も作っているメーカーがあります。
昭和のこの時代は自転車1台の価格が平均月収の数倍と高価なもので、強く長く使えるように
とても堅牢に作られており、大量消費社会の今の格安ママチャリとは対極的な存在でファンも
多いです。現在国内で買える新車は数年前にロッドブレーキが使えなくなってしまい、そこの
レトロ感は少々劣るようになってしまいました。BSのジュピターですがフレーム形状も少し…。

s-IMGP5004.jpg
センタースタンドの刻印は・・・川?もしかしたらオリジナルではなく国産実用車の流用かも。
リアハブはTorpedoの刻印入り。これはMOでも全く同じものが使用されているみたいです。
ハブ本体はうまく写真に写せませんでしたがここで確認すると年式と適合する刻印でした。
このハブ本体やクランク軸には指先で開閉できるオイル注入口がついていて簡単に注油可能。
ちなみにリアブレーキはコースター式で、ペダルを逆転させて止めます。良い操作感でロック
するようなこともなく安心して使えます。これ以降のMOはレバー式ドラムブレーキも付きます。

s-IMGP5005.jpg
ロックがついています。レバーを操作してスポークを回らなくさせる型式です。鍵が欠品している
ので新しく作ってもらおうかなと思案中。盗難防止には他のロックも絶対使ったほうが良さそう。
本体は防犯上ネジの頭がちゃんと隠れるようになっていて取り外し方法は分かりませんでした。

s-IMGP5007.jpg
シートポストとリアフェンダーの隙間には工具入れがついています。模様が彫られており綺麗!
蓋は金属製のつまみを回してロックを解除できるようになっておりアクセス性がとても良いです。

s-IMGP5011.jpg
タイヤは前後ともスイス製の物がついていました。BULL CORDがどうやらメーカー名らしい。
11 85と書いてあるので製造は1985年頃だと思われます。プロフィールNo.5 26×1・1/2。
片側にしか文字が無いのが面白い。エア抜けは無いですが流石にひび割れが多く少し不安。
BE(ビーデッドエッジ)タイヤですが日本でも交換出来る店はあるみたい。バルブは英式です。
ただこのサイズのBEは現在中国産のコピーのみのようで入手方法はもちろん輸入のみです。

s-IMGP5006.jpg
工具は二本だけレンチが残っていました。TorpedoとX-LOCH-Xという刻印がされています。
調べると他の戦中車に同じ形の工具が含まれているようなのでちゃんと軍用車専用品みたい。

s-IMGP5008.jpg
フレームバッグを左側から。スコップホルダーも一緒についています。付属品が多くて嬉しい♪
バッグはこちら側から開けます。ベルトとホック2つ(1つは壊れています…)で留まっています。

s-IMGP5017.jpg
内側のポケットにはH.CLEMENZ 1927 SEVELENとの刻印が。まさかの89年モノ(((;゜Д゜))
ベルトは硬化して操作がしづらいですしカビも生えているので革製品のメンテを覚えたいです。

s-IMGP5018.jpg
側面の内蓋につまみがついており、引くとグバッと中にアクセスできます。よく出来ています。
当時の兵士はどんなものを中に入れていたのでしょうかねぇ…?バッグの上側には持ち手が
ついているため自転車から取り外せばバッグだけ携行することもできます。機能的だなぁ~。

s-IMGP5009.jpg
スコップホルダーの内側にも刻印がありましたが、かすれてしまっており文字は読めません…。
数字が40と書いてあるので1940年製でしょうか。出品者さんが当時物と言ってたから信じるw

s-IMGP5010.jpg
革のベルトの穴にピンの頭を通して留めてあるのですが革が硬くなってしまっておりスコップを
取り出すことはできませんでした。スコップの状態は良さそうで、なめらかな持ち手も美しい…。

s-IMGP5013.jpg
サドルももちろん革で出来ています。かすれてしまい判別不能でしたが刻印も色々あるみたい。
ぐるぐる巻きのスプリングやその他の金具の造形は流石アンティークバイクといった雰囲気!
工具が必要なようですがサドルの高さ調整もできます。自分にはこの状態でちょうど良いです。
スイス人の体格が当時から良かったため、伸ばせばかなり大柄な人でも運転ができそうです。

s-IMGP5015.jpg
ハンドルはスワロー型にあたるのでしょうか、程よくワイドで乗車姿勢は背中がピンと立ちます。
トップチューブに見える革ベルトもビンテージバイクに乗っている雰囲気を盛り上げてくれます。
グリップはプラ製で綺麗なものがついてます。ロッドブレーキのお陰でハンドル周りがさっぱり。

s-IMGP5016.jpg
ベルは蓋を手で回して簡単に内部にアクセスできました。レバーが若干渋いもののちゃんと
音が鳴ってくれるのは感動しました。中のギアに油を差したらもっとスムーズになりそうです。
天盤にはもうほぼ消えてしまっていますが、トレードマークの白十字がうっすら残っていました。

s-IMGP5043_Fotor.jpg
またがってみるとこんな感じです。ちなみに上着は東ドイツ軍の放出品です。それっぽいのが
コレくらいしか無かったので…w ギアは固定で1速のみですが、駐車場をグルグルしてみると
程よいギア比でパワフルに進みます。乗り味がカッチリとしていて、変な音も一切せず、非常に
静かに乗ることができます。昔は今ほど自転車が安くなかったですしやはり作りが良いのです。
製造から75年も経ちこれだけ古いのに乗り心地がとても良く、かなりビックリさせられました。
フレームは細く見えますが25kg近く重い車重が軍用車としての堅牢性を静かに物語ります。

自転車部隊は第二次世界大戦まで各国にあり、日本軍にも銀輪部隊と呼ばれた隊がありまし
たが、専用車を作って大規模に運営している軍隊としてはスイス軍は筆頭に当たる存在です。
アルプスの険しい山間部が国土の多くを占めるという地域性が大きな理由となっているようで、
当時の自動車でも音を上げそうな山道をシングルスピードの自転車で駆け巡ったのです…!
かなり屈強な部隊で、ロケットランチャーを自転車に積載して航空支援まで行ってたらしい…。
動画を見ると伝統を守るという意味合いが強かったみたいですが近年まで活躍をしていました。
さすがに後年には自転車が近代化し多段ギアが付きましたが。今はそれほど大規模では無い
ようですがMO-93に次いで2012年に3代目の軍用自転車 MO-12が開発・配備されました。
スイスのミリタリー史と切っても切れない関係の自転車。その1台を所有できてとても幸せです。
憧れの戦前(戦中)車を所有・運転するという夢も一応果たす事が出来て本当に良かった…!


最後に面白い動画をご紹介。向こうのTV番組で戦前のMO-05と近代のロードバイクが競争
したときの様子です。このスイス軍自転車は結構速いということでも有名らしく、乗り手次第で
ロードバイクを打ち負かしてしまうほどの高いポテンシャルを秘めているそうなのです(((;゜Д゜))
他の個人動画でもそんな様子が紹介されています。自分は足がまだ完治しておらず、少し乗っ
ただけですがそれでもスイスイ進む様に驚き、磨いて部屋のディスプレイにしようと思っていた
この自転車ですがタイヤ等の消耗品を新調して普段使いしたいかもと考え出してしまいました。
本国のシクロクロス大会ではこの軍用自転車、Militaervelo専用のクラスまで用意されている
みたいですし、長く作られただけあり部品や弾数も海外にさえ目を向けてしまえば豊富なので
古い自転車を初めてみたいけど…という方にMOはかなりオススメできる1台だと思います。
モデルアーミーは互換性が少し心配ですが戦中車を探しているなら良いのではないでしょうか。
国内でも多少流通しているようですが情報サイトは少なく、情報収集や部品の海外調達のため
英語とドイツ語(大学で履修してましたがもっと真面目にやるべきだった!)を克服しないと…w
広告

| 戦前のモノ | 18:24 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

おー!こんなものが日本でも手に入るんですね!
どこを取ってもかっこいいです。。。

革の手入れ、僕もブーツの手入れを調べたことあるんですがみんながみんな違う手入れでワケワカメでした(汗)
そこも含めて革製品の楽しみなんでしょうねえ。。。

| 星の使い | 2016/03/05 22:08 | URL | ≫ EDIT

>星の使いさん
わずかながら国内にもあるようで、運良く手に入れることができました!
革の手入れはたしかに色々難しそうで、奥深い世界です。
自分も知識がないのでここも勉強していかないと…。
全て取り外して革クリームを塗りこんだのですが、自転車を運んでいる最中に車内で倒してしまい、ヒビ割れの深かったバッグとスコップホルダーのベルトが切れてしまいましたorz
レザークラフトのお店にみてもらい、バッグの劣化したベルトは全交換、スコップホルダーは修復が困難なので新造してもらうことになりました。
かなりの痛い勉強代になりましたが、今後ずっと維持していく上で劣化部分を近々修理に出そうかと元々考えていたので思い切って依頼しました。仕上がりは1,2ヶ月かかるということですが仕上がったらまた記事で紹介します♪

| KEI | 2016/03/06 16:14 | URL | ≫ EDIT

良い担い手に渡ったようで他人事ながら安堵しています、タイヤがBEとは知りませんでした。
出品車は僅かに欠品があり、色々と折り合いがつきませんでしたがどうか末永く。

| 保坂博文 | 2016/04/18 16:07 | URL | ≫ EDIT

>保坂博文さん
コメントありがとうございますm(_ _)m
元オーナーの方でしょうか?とても良好な状態でこの自転車を残してくださり感謝しています。こうした古いモノを手にするのは初めてで経験も浅いですが、宝物として大事にしていきたいと思います。

| KEI | 2016/04/20 22:56 | URL | ≫ EDIT














TRACKBACK URL

http://safehouse2.blog82.fc2.com/tb.php/1747-8bc9c505

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT